暖炉好きとしては、その気分が分かるので、私自身も古い家の取り壊しに立ち会ったりすると、「俺が暖炉を持ってれば、この廃材はすごい貯金になるなあ」と思ってしまうのだ。で、いつ暖炉を造るかということだが、これが難しい。暖炉なんておおざっぱに言えば百万円ぐらい、つまり小型国産車なみの値段で造れるし、税金も保険も車検も要らず、おまけに理由で燃料は限りなくタダに近いから費用は問題ではない。問題は暖炉を造って、その前で過ごす時間が持てるか、ということである。
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暖炉は暖房ではなく、いわば無為の時を豊かに経たせる装置だから、炉辺で過ごす時間が持てなくては宝の持ち腐れになる。私は家に居るのが好きなので在宅時間は長いが、そういう時は事務所に居るより忙しい。いつも読むべき本、見るべきビデオ、聞くべきCD、がたまっているからだ。となると私は、若い頃に「晩年は炉辺で過ごそう」と夢想していた時間を懐かしの名画のLDを見て過ごすことになるのだろうか。そう言えば、かつての暖炉の予定位置が、今では四〇インチテレビに占領されている。